Facts on Fertility

不妊症の原因

6組中1組が不妊の問題を抱えています。その原因の多くは男女どちらにもあると言われています。

古くから不妊症の原因は女性にあると考えられがちですが、WHO(世界保健機関)の調査によると、女性に原因がある場合は41%、男性に原因がある場合は24%、男女共にある場合は24%、11%が原因不明1)です。つまり男性に原因がある不妊症の割合は48%になり、不妊症の原因の半数程度は男性側にも原因があります。また、妊孕性(妊娠する力)を低下させる因子として、環境問題だけでなく、喫煙、過剰なカフェインやアルコール摂取等の生活習慣も不妊の原因になることがあります。

1)WHO 7273 カップルの不妊症原因調査 1996 参考:日本生殖医学会. 不妊症 Q&A Q4

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いつ病院に行けばいいでしょうか?

一般的に、女性の年齢が35歳未満で妊娠を望む健康な男女が避妊をすることなく性交渉を継続的に行っているにもかかわらず、1年以上妊娠しない場合、「不妊症」の可能性があると思われた方がよいでしょう。女性の年齢が35歳~40歳で6か月以上妊娠しない場合も同様に不妊症の可能性があります。ただし、明らかな不妊原因が存在する場合は、妊娠しない期間が1年たっていなくても不妊症と診断されることもあります。
不妊症の原因が早く見つかれば、カップルで適切な治療に早く進むことができ、妊娠までの期間を短縮できる近道となるでしょう1-5。より早期に検査と治療を開始した方がよいという考えが一般化してきています。

不妊症の原因

2つのタイプの不妊症があります:
①原発性不妊症:一度も妊娠したことがない場合、又は妊娠しても出生にならない場合
②続発性不妊症:過去に1回以上妊娠(流産も含む)、出産歴があるにも関わらずその後妊娠しない場合、また男女共に不妊の
原因があり、25%のカップルが原因不明の不妊と言われています6-9

3 Male (1)

男性側の要因

  • 精子の形態異常
  • 乏精子症(精子の数が少ない)
  • 無精子症(精子がいない)
  • 精子無力症(動いている精子が少ない)
  • 3 Female (1)

    女性側の要因

  • 排卵因子(排卵障害)
  • 卵管因子(閉塞、狭窄、癒着)
  • 子宮因子(子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮形態異常など)
  • 頸管因子(子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常など)
  • 不妊症の問診と検査

    不妊症は早めに原因を見つけて、適切に治療することが大切です。 まずは問診で、ご自身の背景や経緯を主治医にじっくり相談することからはじめましょう。問診票を元に必要な検査を行うことで、不妊の原因を詳細に見つけ出すことができます。

    精子

    男性不妊の検査:精液検査 精液検査は男性側のとても大切な初期検査の一つです。精液を取って精子の数や動きなどを調べます。もし精液に何か異常が認められた時は、更に精密な検査を行うことがあります。

    卵巣と排卵

    女性不妊の検査:卵巣機能と排卵 妊娠成立には月経周期を把握するだけでなく、卵巣機能の評価も大切です。経腟超音波検査で子宮や卵巣の観察(排卵時期や卵胞の発育状態、子宮内膜の厚さなどを予測)、血液検査では卵巣年齢(AMH;抗ミュラー管ホルモン)、排卵に関係する4つのホルモン検査、エストロゲン、プロゲステロン、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を調べます 。

    卵管

    卵管 子宮卵管造影検査(HSG)では子宮口から造影剤を注入し、X線で確認しながら卵管の通過性や子宮の形態を調べることができます。女性側の不妊の原因で一番多いのは卵管が詰まったり、周囲に癒着して動きが悪くなったりしていることですが、子宮卵管造影検査で簡単に確認できます。

    子宮腔

    子宮腔 診察時に行う経腟超音波検査で子宮腔の異常が見つかることがありますが、子宮卵管造影検査を行ってはじめて子宮腔の以上を認めることもあります。場合によっては子宮腔を細く柔らかい内視鏡で観察する子宮鏡検査や腹腔鏡検査を行うこともあります。

    1. NHS (National Health Service). UK. 18/02/2020. www.nhs.uk/conditions/infertility
    2. Government of Canada. 28/05/2018. www.canada.ca/en/public-health/services/fertility/fertility
    3. CNGOF (Collège National des Gynécologues et Obstétriciens Français). France. 31/05/2016. www.cngof.fr/infertilite/322-la-consultation-le-bilan-les-causes
    4. Practice Committee of American Society for Reproductive Medicine in collaboration with Society for Reproductive Endocrinology and Infertility. Optimizing natural fertility: a committee opinion. Fertil Steril. 2017 Jan;107(1):52-58.
    5. Infertility Workup for the Women's Health Specialist: ACOG Committee Opinion, Number 781. Obstet Gynecol. 2019 Jun;133(6):e377-e384.
    6. NHS (National Health Service). UK. 18/02/2020. www.nhs.uk/conditions/infertility/causes
    7. ASRM (American Society of Reproductive Medecine). www.asrm.org/topics/topics-index/unexplained-infertility
    8. Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Evidence-based treatments for couples with unexplained infertility: a guideline. Fertil Steril. 2020 Feb;113(2):305-322.
    9. CNGOF (Collège National des Gynécologues et Obstétriciens Français). France. 31/05/2016. www.cngof.fr/communiques-de-presse/105-l-infertilite